ふたたび出会って好きになる ~おまけSS2~

冬が好きな理由 ──和馬視点──

「和馬、いいかげん帰んねぇ? 寒くて仕方ねぇ」
 夏の終わりに和馬を好きだと言った男が、雪ダルマのように着ぶくれした姿でこちらを恨めしそうに眺める。今日は天体観測にうってつけの気候だったので、 望遠鏡を持って公園まで来たのだが、どうやらかなり時間がたってしまったらしい。
 「お前、よくこの冷蔵庫みたいな気温の中で平気だな。俺は夏のほうが好きだわ。真似出来ねえ」
 腕をさすりながら、ぶつぶつとつぶやいている。口のあたりからは、湯気が蒸気機関車のように吐き出されている。
「うん、冬のほうが好きだよ」
 和馬は綿毛のような呼気の出所にそっと近づき、それを唇で吸い取ってやる。
 ふれたばかりの唇がひやりとしていたので、去り際に舌で彼の表面を舐める。
「こういうことが出来るから」
 そう微笑んでやると、男は日焼けした肌を赤く染めていた。
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